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プレポットの粋、フラヴィオに乾杯!

私たちがレ・ドゥエ・テッレとの取引を始めたのは、1999年。NYでオペラ制作に携わり、信頼できるイタリア美食ガイドブックの著者でもあるフレッド・プロトキンが、『Terra Fortunata:フリウリの食とワイン文化』で特筆していたことがきっかけでした。

レ・ドゥエ・テッレに訪問できないか尋ねたところ、「ヴィニタリーには出展しないけれど、用があって出向くから、その会場で会おう」と言っていただき、その場で貴重なインプリチトを頂戴しました。以来その素晴らしいワインはもちろんのこと、フラヴィオ・バジリカータの控えめで飄々とした不思議な魅力のとりこになって、訪問を重ねました。 

決して容易なヴィンテッジでない年でも、思慮深くて純粋に走り続けるフラヴィオのワインは、派手さとは無縁ながら、熟成を経るにしたがって輝きにあふれ、エレガントでビロードのような味わいがします。ビアンコは日本に到着後、毎年すぐに売り切れます。ラシーヌ ワインランドでは現在、理想的なビン内熟成期間を経て、美しさとバランスが絶妙なサクリサッシ・ロッソ2014年と、ピノ・ネーロ2015年、メルロ2015年を揃えていますが、おおらかな気配を漂わせ、独自の境地を開いています。2008年以来、どんどん味わいが研ぎすまされ、高いレベルでのキャラクター差が楽しみです。

お嬢さんのコーラが、ワインの学業を卒えて数年前から醸造をしています。が、なにごとによらず表に出たがらないフラヴィオは、「コーラが醸造して、僕は手伝うだけさ。もともと樽に入れたら澱引もしないで、ほったらかしだから、誰が作ったっておんなじだよ」と、笑っています。畑でブドウ樹の仕立て方を見てもわかるように、じつは大変な努力家で几帳面な性格なのですが、近作では神経質な面がぐんと抑えられ、自然への畏敬の念に裏打ちされた抜群のバランス感覚と、一種の軽快なリズム感が、ワインから感じとれるように思います。

ちなみにフラヴィオは、ジャズと読書とコーヒーが大好き。フラヴィオ宅ではいつも、食材のレベルの高さにうたれながら、奥様のシルヴァーナが手作りするシンプルで滋味にとんだお料理とワインをご馳走になるのが、私たちの毎年の楽しみなのですが、余計なものが姿をひそめる端麗なたたずまいの室内には、美的センスがあふれています。 

そしてどのワインも、野生的な香味を全面に出しながら、重層的な旨みを感じさせ、じんわりとした温かさを感じさせます。

なお詳しくは、ラシーヌ便りをお読みください。
ラシーヌ便りno. 175「ラシーヌの宝もの_フラヴィオ・バジリカータ/ Le Due Terre」 http://racines.co.jp/?p=9955